One minute
えらく主観的で根拠もないが生き方が詰まっている本
最近、本を選んでいる時にふと思ったこと。 仕事や勉強であれば情報が正確で出典がきちんと明記されたものを選ぶのが正しい。
ただ、ある程度の年齢になって改めて今まで築いてきた自分の価値観・考え方・世界とは違った、新しい自分の軸を形成してくれるような本を求めるようになってきました。自身の思考のアイデンティティを確立したり、新しい感覚を身につけたりすることに、以前にも増して必要性を感じる。正解のやり方、具体的手法はいまやAIが教えてくれるようになった、という状況変化もあるのかな。
だからこそ、面白い人生を歩んでいる人の、主観的でかつ科学的な根拠などはなくとも、熱い想いが込められた不器用な価値観や理論に触れること、それが自分の思考の幅を広げてくれるような気がしています。
著者自身が「難しい問題」に真摯に取り組み、自分なりの答えを語りながらも迷い、葛藤している。そこに「では、自分はどう考えるんだろう」という疑問を重ねつつ読み進めるのが面白いんですよね。
服部文祥さんの本はよく読むのですが、僕は彼が狩猟や登山を通して命に向き合う姿勢が大好きで、時に尖った主張をしつつ、迷いながらも問いの答えを真摯に追求する、という姿勢に魅力を感じています。禅問答において「俺はこう考えるよ」を知り「自分はこう考えた」を経る。
そのような誰かの生き様を知ることは、ハウツー本や著名なビジネス書を読むよりも、自分自身の軸を形成する上で大きな価値があると感じます。個人的には冒頭で述べた「仕事」においても、いわゆるConnecting dotsになり得るこのような本は、たくさん読んでおいた方がいいと思っています。