知性の核心は知覚にあるという安宅さんという方の書かれた本を読みました。

内容の要約はせずに、感じたことだけ残しておこうと思います。

知覚というのは対象の「意味」を理解し、解釈する非常に高度な能力であり、人間の知性そのもの。 その人の人間的な経験値が知覚の質を変える。 例えば「歯がゆさ」という感覚的な言葉は、過去の人間の知覚経験を抽象化したものと言える。

これは、なかなかしっくり来る話でした。

「なにか」を見てどう感じ、どう解釈するかって、日常生活、新しい発見、人間関係、その他のすべての経験も違えば脳神経のワイヤリングも違うので、本当に人それぞれで全く同じ人はそもそもいない。

人によって知覚の質・力にも差があるとすれば、ある人は「歯がゆさ」を感じ抽象化出来るが、ある人はそもそもその感覚に気づけない、ということも起こり得るんですよね。

多分、世の中にはまだ誰も抽象化できていない「歯がゆさ」と似たような領域がたくさんあるはずで、

感覚的な何かを煮詰めて煮詰めて、本質を取り出したときに誰かの「ニーズ」も見えてくるんじゃないかなと考えてます。

この本は「新規ビジネス」へどう活かすか、という話に進むんだけど、僕個人としては、自分にどんな知覚のオリジナリティがあるんだろう、というふうに思考しました。

知覚の良し悪し、強弱ではなくて、当然他の人と違う部分があるはずで、それはどんなところなんだろうという。

例えば、20代で海外の長期生活に飛び込んでいった経験。 これをやって一番良かったと思っているのは「圧倒的な孤独感」や「マイノリティという立場」を身をもって体験することで、寂しさ、優しさ、という感覚に非常に敏感になれたこと。

この本を読んで改めて、あ、これも自分の知覚のオリジナリティと言えるのかもしれない、と考えたりしてました。

1時間もあれば読めてしまう割に、内容が非常に濃くてだいぶ楽しめるので、もし興味があれば読んでみることをお勧めします。