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Rwanda 1 - ジェノサイドから30年経った今

2週間、アフリカの内陸国、ルワンダに行っていました。 周りをコンゴ、ウガンダ、タンザニア、ブルンジなどに囲まれている、九州よりも小さい非常にこじんまりした国です。
千の丘 (Mille Collines) の国とも言われ、丘陵が広がるとても美しい国でした! 人々が優しくて、滞在中もとても居心地が良かったのを覚えています。
僕にとってこのルワンダ旅行は単なる観光ではなく、以前から興味のあった疑問についてその目で見たかった、という「お勉強」に近いものでした。 また同時にジェノサイド(部族間の大虐殺)の歴史に改めて向き合う「修行」の旅でもありました。
なぜルワンダに行こうと思ったのか
以前から行ってみたいなぁと思っていた理由はいくつかあります。
- ジェノサイドから30年、人々はどう考え、どう暮らしているのか
- 人気のカガメ大統領はどんな人なのか、国民をどのようにケアしているのか
- アフリカの奇跡と呼ばれるほど経済成長を遂げているのはなぜか
- アフリカいちと言っても過言ではないほど安全な国になっているのはなぜか
- IT(ICT)教育を国策として推し進めているが、ITエンジニアとして自分ができることはないか
- 未来の日本への良いヒントがないだろうか、ルワンダと協力していけないだろうか
なぜわざわざ遠いアフリカの小国の、しかも過去の紛争の歴史を考えたかったかという、もう少し深い理由は
ルワンダのジェノサイドとその後の再生は、世界の縮図であり、モデルケースであり、地球の未来への何かのヒントになりそうだと直感的に感じていたからでした。
これは、うまく言語化できていませんが、僕自身が日本の情勢や、世界がいかに脆弱な基盤の上に成り立っているか、何ともいえない不安を感じているからであり、難しい状況に直面した時に自分がどう考えどう判断していくかの軸をハッキリさせておきたいと感じていたからかもしれません。
ジェノサイドから30年、人々はどう考え、どう暮らしているのか
ちょうど30年前の、1994年に数ヶ月で80万人以上が隣人に虐殺されるという悲劇がありました。 色々と調べると、それまでの植民地支配の闇、政治的・部族的な問題が最高潮に達して、過激派組織により国民感情が利用されたように思えます。 ただ、この問題は相当に複雑に根深い問題が絡み合っていそうで、いまだに真相が分からないようです。
「なぜ急に昨日まで一緒に暮らしていた隣人が、ナタや棍棒で当たり前のように殺人をし続ける事ができたのか」
まるで悪霊に取り憑かれたかのうような異常な状況は「説明可能で、同じやり方をしたら再現される心理状態なのか」 ナチのホロコーストの時の状況や、今でも続く世界の紛争との関わりを探ってみたかった、というものでした。
今回数冊の本を読みましたが、特に印象的だった以下の3冊を紹介します。 (内容について細かいことはまた後日書きたいと思います)
ルワンダ大虐殺 〜世界で一番悲しい光景を見た青年の手記〜English title: Genocide: My Stolen Rwanda
隣人が殺人者に変わる時 加害者編English title: Machete Season
隣人が殺人者に変わる時 和解への道English title: The Antelope’s Strategy: Living in Rwanda After the Genocide
また「ホテル・ルワンダ」という映画も事前に観ていました。
旅の前に見ていたのですが、正直怖くなりました。 表面上は「Gacaca」という形式の裁判で決着しているとはいえ、当時の殺人者が普通に街に生活している状態で、 また、国民性がそんなに急に変わるものなのか? というのも疑問だったからです。
実際はあくまで旅行者の視点ですが、世代交代も徐々に行われ、国全体で未来に向けて一丸となって頑張っている印象を強く受け、まさに国をあげて、スタートアップ企業のような一体感と勢いを感じました。
過去を忘れて、未来の子供達へ教育という投資をしていると感じました。 ルワンダ人のほぼ4分の3は35歳未満でジェノサイドの記憶を持っていないそうですね。 (実際は経済力的に理想に追いついていない実状もある)
人気のカガメ大統領はどんな人なのか、国民をどのようにケアしているのか
現大統領のポール・カガメ氏は、ルワンダ再建のために圧倒的人気で国をリードしています。
「昔のことはどうか心の奥の戸棚にしまってください。皆で前に進みましょう」 というのが彼のメッセージで、報復や憎しみの連鎖をこれ以上続ける事を明確に禁じているようです。
今年の4月にあった、ジェノサイド30周年式典でのカガメ大統領の演説は、悲劇の教訓と平和な未来について非常に素晴らしいスピーチだと感じました。
「KAGAME: Our people will never be left for dead again」 https://www.independent.co.ug/kagame-the-foundation-of-everything-is-unity/
生存者に対して、「和解」という非常に辛い重荷を背負ってきてくれたことに感謝を示すとともに、 自分たちの国は、自分たちに責任があり、自分たちで良くしてくのだ。 ルワンダの悲劇は警告であり、二度と分断と過激主義は容認しない。 人々を守るために許可を求めたりせず、誇りを持って平和維持をしていくと。
本当に、このスピーチのようになっていって欲しい、理想主義だったとしても少しでも頑張って近づいて欲しいと 心から願います。
アフリカの奇跡と呼ばれるほど経済成長と安全性
昨今の経済成長率7〜8%とアフリカの中でも上位に入っており、格差は依然存在するものの生活水準は上がっているようです。 実際に農村やスラム地区は上下水インフラがなかったりではあり格差は依然存在するものの、悲惨な貧しさは少ない印象でした。
あとゴミが落ちてない!ルワンダは入国の際にビニール袋を持ち込む事ができません。 ケニアに行った事がありますが、やはりサファリに行く途中の農村部はゴミがすごかったりするんですが、この国は本当に綺麗でした。
僕は参加できなかったですが「ウムガンダ」という毎月最終土曜日に全員参加で行われる奉仕活動デーがあります。 国民の義務として清掃活動やインフラ整備などが行われているようです。現在では、ジェノサイドで破壊されたコミュニティの再生のために「共通の目的のためにみんなで協力する」というコンセプトで運用されており、これもルワンダらしい良い取り組みだと思いました。
ルワンダの中長期ビジョンのドキュメントがありましたのでリンクしておきます。
7 Years Government Programme: National Strategy for Transformation (NST1)
少し長くなってしまったので、ここまでにしたいと思います。 続きはまた時間を見つけて書きたいと思いますが、ルワンダに対するシンプルな感想は 「安全なアフリカって本当に素晴らしい!」というものでした。自然豊かで、アジア圏とは全く違った文化を楽しむことができました。